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日立建機 vs コマツ ICT建機 — Solution Linkage と スマートコンストラクションの違い

ICT建機の2強、日立建機(Solution Linkage、ZAXIS、Auto Tarako)とコマツ(スマートコンストラクション)を機能・価格・保守体制で徹底比較。導入判断の軸を整理します。

#日立建機 #コマツ #ICT建機

国土交通省が2024年に「i-Construction 2.0」を公表し、建設現場のオートメーション化が政策レベルで本格化したことで、ICT建機の選定は「導入するかどうか」ではなく「どのメーカーをどう組み合わせるか」を考える段階に入りました。国内ICT建機市場で存在感を持つのが、コマツ(小松製作所)と日立建機の2社です。コマツのスマートコンストラクションは「事実上の標準」と呼ばれる一方、日立建機もZAXIS-7シリーズと「Solution Linkage」ブランドのもとで後付け3Dマシンガイダンスや自動化油圧ショベルを次々と投入しています。

本記事では両社の戦略を公開情報ベースで横並びに整理し、機能・価格・保守体制・対応現場規模ごとに「どちらが向くか」を客観的に比較します。調達担当者・現場代理人が自社の現場に合った選択肢を判断するための材料を提供することが目的です。

ICT建機市場とi-Construction 2.0の現在地

ICT建機の普及は国交省の政策と歩調を合わせて進んできました。2015年度の公共工事におけるICT施工の発注件数はわずか84件でしたが、2022年度には1万3,429件まで拡大し、建設業の労働生産性は2015年から2021年に9.2%向上したと報告されています(国土交通省 i-Construction 2.0 資料)。

2024年4月公表の「i-Construction 2.0」は、施工・データ連携・施工管理の3領域を自動化し、**2040年度までに少なくとも3割の省人化(生産性1.5倍)**達成を掲げます。国交省のICT建設機械等認定制度は2024年12月時点で84機種が認定済みで、対象も省人化建機まで拡大されました(国土交通省 報道発表)。市場ではコマツが先行し、日立建機がZAXIS-7と後付けキット「Solution Linkage MG」で追い上げる構図です。

コマツのアプローチ概要

コマツは2015年2月に「スマートコンストラクション」を提供開始しました。ICT建機による高精度施工を核に、ドローン現況測量から3D設計データ生成、施工計画、出来形管理、検査までを一体のサービスとしてパッケージ化しています。データ基盤は2021年7月発足の合弁会社EARTHBRAIN(コマツ54.5%、NTTドコモ35.5%、ソニーセミコンダクタソリューションズ5%、野村総合研究所5%)が担い、建設現場のデジタルツイン構築を掲げます(建設物価調査会)。

代表機「PC200i-12」(2024年12月発売、20トンクラス)はi-Construction 2.0対応の3D施工スタンダード機です。メーカーを問わず6トン以上の油圧ショベルに後付け可能な「Smart Construction Retrofit Kit」を2020年に投入し、ミニショベルまで対象拡大(コマツ Retrofit)。2024年5月には遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」も販売を開始しています(コマツ ニュースルーム)。

日立建機のアプローチ:Solution LinkageとZAXIS-7

日立建機のICT施工戦略の中核は、Solution Linkageブランドで束ねられる一連のソリューションです。初期調査・設計・施工・出来形納品の全プロセスを、複数アプリとICT建機で支える設計です(日立建機 Solution Linkage)。

ZAXIS-7シリーズ(ICT油圧ショベル)

主役は2021年10月発売のZX200X-7/ZX330X-7です。標準バケット容量0.8m³、運転質量20.7tのZX200X-7は、新開発マシンコントロール技術でバケットの上下左右・深さ・回転角を高精度制御し、設計面に達すると自動で動作を止めるセミオート機能を持ちます(日立建機 ZX200X-7)。2D/3D仕様の両方を選択可能で、後から3Dへアップグレードできるモジュラー設計です。中小規模の土工現場で2Dから始め、案件拡大に応じて3Dへ拡張するステップアップが取りやすい構造です。

Solution Linkage MG(後付け3Dマシンガイダンス)

2024年5月、日立建機はSolution Linkage MGを発売しました。標準仕様の油圧ショベルに3Dマシンガイダンス機能を後付けできるキットで、価格は450万円(消費税・取付費別)です(日立建機 プレスリリース 2024/05/15)。3D設計データとバケット位置情報を比較し、差分をモニタ表示と音声でガイドします。国交省の「ICT建設機械等認定制度」の認定を取得しており、補助金・施工歩掛の対象です。当初はZX200-7の1機種限定でしたが、2026年2月にはZX135US-6/7、ZX225US-7/LC-7など13・20トンクラス8機種に対応を拡大しました(日立建機 プレスリリース 2026/02/16)。

Solution Linkage Cloudとアプリ群

施工データの集約・可視化はSolution Linkage Cloudが担い、i-Construction対応の出来形帳票自動生成や複数現場のデータ一元管理が可能です(日立建機 Solution Linkage Cloud)。周辺にはダンプ運行管理のSolution Linkage Mobile、スマホ土量計測のSolution Linkage Surveyなどが揃います。

Auto Tarako・ヨイショ投入くんと無人化施工

日立建機の自動化は鉱山向けと一般土木の二段階で進んでいます。鉱山では超大型ダンプの自律走行システム(AHS)を豪州等で実装済み(日立建機 AHS)。2023年5月には顧客の自動運転システムと接続可能な電子制御油圧ショベルRBT Core Connectを発表(日立建機 2023/05/15)。2025年6月、東大発スタートアップARAVが提供する自動油圧ショベル「ヨイショ投入くん」へRBT Core Connectを適用することで合意しました(日立建機 2025/06/17)。これによりZX200A-7/ZX330A-7がARAV基盤に対応し、LiDARによる積込対象の自動認識、ワンボタン無人運転、有人/無人モード切替、1人複数台運用が可能になります。レンタルのニッケンも「ヨイショ投入くん」提供を開始し(レンタルのニッケン リリース)、中小事業者でも試せる環境が整いつつあります。日立建機の自動化(社内ではAuto Tarakoとも呼称される取り組み)は、RBT Core Connect+ARAV連携が現時点の到達点です。

機能比較表

項目コマツ スマートコンストラクション日立建機 Solution Linkage
提供開始2015年2月Solution Linkageは2017年〜
中核ICT建機PC200i-12(20t、2024年)等ZX200X-7/ZX330X-7(2021年)
マシンコントロール3D標準2D/3D両仕様、後からアップグレード可
後付けキットSmart Construction Retrofit(他社建機対応)Solution Linkage MG(450万円、自社機向け)
データ基盤スマートコンストラクション・クラウド(EARTHBRAIN)Solution Linkage Cloud
遠隔操作Smart Construction Teleoperation(2024年)RBT Core Connect(2023年)
自動化施工EARTHBRAIN統合で順次展開ARAV「ヨイショ投入くん」連携(2025年)
国内導入実績累計1万現場超(公表値)公表値限定的、ZAXIS-7は土工市場で広く流通

価格・保守体制の比較

公表ベースの判断材料を整理します。

  • ICT油圧ショベル本体:両社の20トンクラスは新車1,500〜2,000万円台、ICTオプション込みで2,500万円前後がレンジ。日立建機ZX200X-7は2D/3D選択が可能で初期投資を抑えやすい構成です。
  • 後付けキット:日立建機Solution Linkage MGは450万円と明示(日経新聞 2024/05/15)。コマツSmart Construction Retrofitは公表価格は限定的ですが、他社製建機にも適用できる汎用性が強みです。
  • レンタル/サブスク:両社ともディーラー経由でICT建機をレンタル提供。日立建機リーシングのファイナンスプラン(日立建機日本)、コマツカスタマーサポート(KCSJ)も用意。サブスク型の従量課金モデルは両社とも地域販売会社経由の相談ベースです。
  • 保守体制:コマツはKOMTRAXによる稼働モニタリングを20年以上展開、全国販売・サービス網が厚い構成。日立建機はGlobal e-Serviceで遠隔監視しつつ、ZAXIS-7世代から国内サポートを再強化しています。

どんな現場に向くか

コマツが向く現場

  • 大規模土工・造成工事で3D設計連携・ドローン測量・出来形管理を一気通貫で運用したい現場
  • 発注者がi-Construction準拠の3Dデータ納品を求める公共工事
  • 他社製建機を多数保有しメーカー横断でレトロフィットを進めたい事業者

日立建機が向く現場

  • 既存ZAXIS建機を多数保有し段階的にICT化したい中堅・中小事業者
  • 2D仕様から始めて3Dへ漸進的にアップグレードしたい現場
  • 450万円という明示価格の後付けキットでROIを試算しやすい案件
  • ARAV連携で1人複数台運用による省人化を狙う土工現場

なお、鹿島建設「A4CSEL」のように、ゼネコン側が独自の自動化基盤を持ちマルチベンダでICT建機を揃える動きも広がっています(鹿島建設 A4CSEL)。建機選定は施工管理基盤・元請の方針とセットで決めるのが現実的です。

FAQ

Q. Solution Linkage MGとSmart Construction Retrofitはどちらが安いですか?

Solution Linkage MGは450万円と明示され日立建機向けに限定。コマツRetrofitは公表価格は限定的ですが他社建機にも対応する汎用性が強みです。保有機が日立なら前者、他社混在なら後者が候補です。

Q. ICT建機の補助金は活用できますか?

国交省のICT建設機械等認定機種は、補助金・施工歩掛の対象です。PC200i-12、ZX200X-7、Solution Linkage MGはいずれも認定対象で、中小企業省力化投資補助金との組み合わせも検討できます(国土交通省 ICT指針)。

Q. 自動化・無人化は中小事業者にも現実的ですか?

現時点ではゼネコン主導の実証段階が中心ですが、ARAV「ヨイショ投入くん」のレンタル提供開始など試せる環境が整いつつあります。遠隔操作・マシンガイダンスから始め段階的に自動化を取り入れるのが現実解です。

まとめ

ICT建機の選定は、もはや「コマツ一択」と単純化できない状況に入っています。コマツは累計1万現場超の運用ノウハウとEARTHBRAINのデータ基盤で「面」を押さえる王道戦略、日立建機はZAXIS-7とSolution Linkage MG、ARAV連携の自動化で「点」から攻める差別化戦略を取っています。

判断軸としては、大規模土工で3D設計データ連携が必須ならコマツ既存ZAXIS建機を活用した漸進的ICT化や明示価格でROIを試算したいなら日立建機が現実解になりやすい構図です。i-Construction 2.0の適用拡大とともに、認定制度・補助金枠の拡大も見込まれます。自社の現場特性と発注者要件を踏まえ、レンタル・サブスクも含めた段階的な導入計画を立てることが最短ルートです。

参考・出典

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